Social Welfare Corporation KUJIRA

  • ことばの種(STさんのつぶやき)

「すーぱーかりふらじりすてぃっく…②」

さて、引き続き、子どもの「ごめんなさい」の話題です。

今回は「ごめんなさい」が言えないお子さんのケース…。

反省してない、反抗的、不誠実等々、マイナスの評価をされやすい、ちょっと損なタイプですね。

でも、そのお子さんは、本当に反省してないのでしょうか?

反抗的、不誠実な子なのでしょうか?

ちょっと観察してみてください。

まず、お子さんは「ごめんなさい」の意味や、注意されている状況を、きちんと理解できていますか?

今、注意されているという状況や、その理由がわからなければ、「ごめんなさい」ということばは出てきにくいでしょう。

また、状況や内容がわかっても、「ごめんなさい」ということばの意味そのものであったり、それを言うことの意味や必要性がわからなくても、「ごめんなさい」は言いにくいですね。

(意味のわからないことばを強要されるのって、怖いですよね…。)

前回の、嫌な場面を終わらせる呪文として「ごめんなさい」と言ってしまうお子さん同様、その子に合った方法で、状況やことばの意味を伝えていく必要があります。

それから、わかっているけれど言えないという場合。

その子は、いつも「ごめんなさい」ができないのでしょうか?

場面により、注意された内容により、あるいは相手によって、「ごめんなさい」と言える時はありませんか?

…あるお子さんのケースです。

「ごめんなさい」は苦手です。

でも、楽しくなっておもちゃを投げてしまう、机をたたいてしまう等、ダメだと知っていることを、うっかりしてしまった時には、大人が促さなくても、自分で「ごめんなさい」と言えることが多いです。

楽しそうな遊びやおもちゃに夢中になって駆け寄り、前に居るお友だちを押してしまった(本人としては、素敵なものに走って行っただけで、押し退けたつもりはありません)時には、「ごめんなさい」が言いにくいようです。

「ダメ!」と言われた時より、「お怪我をすると心配だから、こうしてほしいんだよ」と伝えた時の方が、「ごめんなさい」と言いやすいみたいです。

…このお子さんの場合は、「いけなかったな」と、自分で納得できたかどうかが、「ごめんなさい」を言えるかどうかのカギになっているのでしょう。

「いけない」と知っているか?

自分でしてしまったことに気づいているか?

「いけない」理由が、子どもにとって納得のいくものか?

伝え方も大切ですね。

頭ごなしに叱られるのと、気持ちや言い分を受け止めてもらった上で、望ましい行動を示されるのとでは、たとえ同じ内容でも、納得感に大きな差があります。

余談ですが、このお子さん、大人がお話することに「はい」とお返事せず、顔ごと視線をそらしてしまうこともあって…

よくよく様子を見ていると、「こうしてね」「やめてね」に対して、自分が応じられそうな時にはお返事できるのですが、どうしてもイヤなことや、気を付けていても、またやっちゃいそうなことの時に、お返事がないようです(笑)

とても正直ですね。

…だから、「はい」とお返事があったことについては、次からがんばってくれます。

こんなお子さんを、反抗的で不誠実だなんて、言えるでしょうか?

ちゃんと納得して「ごめんなさい」しようとしている、誠実な子どもだと感じて、私は好きですよ。

子ども達が安心して「ごめんなさい」ができるよう、大人も工夫しなくては!ですね。

どうしても応じられない時には、「(おもちゃのところまで)歩いていこうね」等、それなら、まあ、がんばれるかな…と子どもが思えるような、お互いの妥協点を提示することも、1つの方法です。

(子どもにしてみれば、興味のあるものの前にあった、邪魔なものを手で避けただけで、お友だちに意地悪したつもりはないことが多いので、「お友だちを押さないで」は、応じるのが難しいです。)

最後に、自分がいけなかったとわかっても、どうしても「ごめんなさい」ができない意地っ張りさんの場合。

そうなった背景を、考えてあげてほしいなと思います。

元気いっぱいで、注意されることの多いお子さんだと、(その子なりに)納得できないまま、「ごめんなさいは!?」と叱られる経験を重ね、すっかりイヤになっているのかもしれません。

そうしたお子さんは、他の人から「ごめんなさい」と言われる機会も少なくて、「自分ばっかり叱られる」と、悲しい気持ちを抱えているかもしれません。

「1番!」にこだわる、完璧主義のお子さんは、「失敗しちゃった自分が許せない」と、葛藤しているかもしれませんよ。

「ごめんなさい」を言うことは、失敗した、完璧じゃない自分を認めるようで、苦しいのかも…

意地っ張りな困った子に見える子どもも、本当は、胸のうちに、そんな悲しい、苦しい気持ちを抱えていると想像すると、切なく、愛しく思えませんか?

どのお子さんも、自身の幸せのために(それぞれの良いところを、正当に評価してもらえるように)、いつかスムースに「ごめんなさい」ができるといいなとは思うのですが、魔法のように速効性のある方法は、私自身持っていません。

それでも、まずは、それぞれの子どもの、できない理由は何かな?と考えながら、子ども達と向き合うことが、解決の糸口になるのではないかと思っています。

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