- Kujilibrary(絵本紹介)
[kujilibrary65冊目]児童発達支援センター伊予くじら
主任保育士・主幹保育教諭による絵本紹介、2週目の最後は、愛媛県伊予市の児童発達支援センター伊予くじらです。
絵本紹介『がまんのケーキ』

作・絵:かがくいひろし 出版社:教育画劇
私がこの絵本に出会ったのは、学生の頃幼稚園実習に行ってた時です。
担当してくださった先生が、「私、この作者さんの絵本が好きなのよ」とお話してくれたのが
「がまんのケーキ」でした。その先生は、読み聞かせも上手で、読み聞かせに学生が釘付けになったのはここだけの秘密です。
さて、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、がまんのケーキの作者さんは、2008年に発刊された大人気の絵本「だるまさんが」の作者と同じなのですよ。
がまんから始まるタイトルとかがくいさんのイラストに目がとまります。
私なりに、思うメッセージは…
“我慢する”
“相手を思う”
“約束を知り、守る”
がこの絵本の中に込められているのではと感じています。
「一緒に食べようね」と約束したケーキを目の前に、けろこさんの帰りを待つことになります。
流石の大人も、こんなに目の前に置かれたら食べたくなるっという状況です。
「あー食べたい」と頭の中はケーキでいっぱいです。
ケーキを食べたいこいたろうさんは、あの手この手でかめぞうさんを誘惑して…
ついにかめぞうさんも…結末はいかに!?
話の行方が気になってじっとみたり、ケーキをめぐってのやりとりが面白くて「ダメダメ〜」とニヤニヤしちゃったりする子どもの姿が…
ついに誘惑に負けそうになった2人が
友だちのけろこさんの手紙をみてふと我に帰り…
文がないページで大人も心をつかまれるシーンです。
自分たちだけなら食べてしまうかもしれないけど
「がまんできます!あなたのためなら…」
大好きなけろこさんと一緒にケーキを食べたい!
みんなと一緒に食べるケーキは、とても美味しいね!
我慢している2人が葛藤している様子がよく伝わる絵本です。
かがくいひろしさんの人情とユーモアてんこもりの絵本になっています。
我慢できたことをきちんと認めてくれるけろこさんの優しさに作者の優しさが滲み出ていますね。しっかりとできたこと、頑張れることを認めてくれる大人の存在は大切だと改めて感じる一場面でした。当たり前のことも言葉にして、感謝されたり認められたりする経験を子どもたちにはさせてあげたいですね。
かがくいひろしさんは、特別支援学校で28年勤務されてきた方です。
だからこそ、乳幼児の目線だけでなく、もっとわかりやすい言葉で面白く読者を夢中にさせる、その中で大切なことを伝えていくことを大事にされていたんだろうなと感じました。
かがくいひろしさんは、2005年に新人賞を受賞され、デビューして4年、54歳という若さでこの世を去りましたが、これからもユーモアたっぷり絵本を子どもたちと読んで、たくさん楽しみたいと思います。デビュー作の“おもちのきもち”をはじめとして、“おふとんかけたら”“おしくらまんじゅう”“みみかきめいじん”“まくらのせんにんシリーズ”など16作品があります。ぜひお手に取ってみてくださいね。
今回の紹介は、児童発達支援センター伊予くじら S・Tが紹介しました。
2週目はこれにて終了します。