- ことばの種(STさんのつぶやき)
おしゃべり上手にみえるけど、実はね…
おしゃべり大好きな5歳のAちゃんのこと。
たくさんことばを知っていて(知っているようにみえて)、大人顔負けの難しいことばをつかって、長ーい文でお話してくれます。
特に、大好きなはたらく車の話題になると、まさに立て板に水!
お話は止まりません。
周囲の大人には、ことばの発達の早い、賢い子に見えます。
(そうでないと言うわけではありませんが…)
一方で、わかっているはずのお約束が守れなかったり、自分の思いをことばで伝えられず、怒ってしまったりすることがあります。
言語力が高い(ように見える)Aちゃんなのに、なんだか不思議ですね。
人のお話を聞けない子、自分勝手な子というようにも見えてしまうAちゃんですが、そうではありません。
実はね…
Aちゃん、ことばの意味を、理解してお話しているわけではありませんでした。
実はね…
Aちゃんが得意なのは、「ことば」ではなく、「記憶」でした。
大人がお話していることや、テレビや動画で見たこと、本で読んだことを、そのまま、バッチリ覚えて、お話するので、難しいことばや長い文になってしまうのですね。
ただ、ことばの理解は、一般的な5歳さんと同じくらいだったので、しゃべれるけど知らないこと、分からないことがたくさんあったようです。
ところが、Aちゃん、なかなか賢いお子さんで、ある程度、その場面に合ったフレーズを選択してつかうことができるので、周囲の大人には、意味が分かってお話したり、聞いたりしているように見えていました。
Aちゃんにとって、更にしんどかったのは、そんな風に、一見お話上手で、色々なことをよく分かっているように(大人びて)見えるので、周囲の大人から、Aちゃんの実際の発達段階以上のことを要求されることが多かった点です。
本当はわかっていないのに、「これくらいわかるでしょ?ちゃんとして!」と言われてしまう…
わからなくて困っているのに、「わかっているのに、どうしてしないの?」と叱られてしまう…
(しかも、同年齢・同じクラスの子どもたちの中でも、やや高いレベルのことを要求されがちです。)
これは…
しんどいです!
学校のお勉強などで、すごく苦手な科目のあった方なら、Aちゃんの居心地の悪さを、少しだけ想像できるでしょうか?
お話上手で、大人の声かけもよく理解しているように見える子どもでも、大人が困ったなと思うような場面や、「あれ?」と感じるような行動が多い場合には、「本当に分かって言っている(聞いている)のかな?」という点について、観察してあげる必要があるかもしれません。
実はね…
大人が思うほどは、分かっていないことがあるんですよ。
実はね…
大人が思うより、がんばっているんですよ。
実はね…
子どもの「できない」には、理由があることが多いんですよ。
子どもたちの「実はね…」に気付くことが、家庭やセンター・園などで、楽しく過ごすことにつながります。