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  • ことばの種(STさんのつぶやき)

でも、いやなんだ…

最近、かわいいなーと思った、ある男の子からの発信です。

お友だちや大人と関わることが好きで、お話もたくさんしてくれます。

動きが大きいので、乱暴と誤解されやすいのですが、お友だちのためにドアを開けて待ってくれたり、おいかけっこの途中で大人が疲れてきたのに気づいて「ちょっと休憩!」と、みんなに声をかけてくれたりする、優しいお子さんです。

気持ちのコントロールは少し苦手で、思い通りにならないと、怒ってしまうことがあるのが、今の課題でしょうか。

さて、その日も、職員から行動を制止されて、怒ってしまいました。

室内を走り回ったり、床に寝転んでバタバタしたり、壁を蹴ったり…

なかなかダイナミックです(笑)

こうなってしまうと、本人にもどうにも行動が止められないようです。

興奮して、ことばかけは耳に入らないし、却って刺激になってしまい、気分が昂る原因になります。

仲良しのお友だちが心配して頭をなでなでしてくれますが、それも刺激になっているようなので、今はやめてもらいましょうか…

「親」という立場だと、何とかしなくては!と、矢継ぎ早に声をかけたり、叱ったりしてしまうと思うのですが、こんな場合には、(危険がない限り)そっとしておくというのも、1つの「対応」の方法です。

少し離れて観察し、静かになったり、視線や泣き声などから、こちらの反応を探る様子が出てきたりしたら、そーっと側に寄って行ってみましょうか?

拒否したり、更に暴れたりしないようなら、そろそろお話ができるかな?

こうして怒ってしまうお子さんが抱えているしんどさは、気持ちのコントロールの問題だけではないことがあります。

実は、ことばやコミュニケーションの課題に気づかれていなかったり、実際より軽く見積もられていたりすることがあります。

このお子さんの場合もそうなのですが、お友だちが大好きで、よくおしゃべりもしているので、一見問題ないように見えても、自分の気持ちや行動を、適切なタイミングで、望ましいことばで伝えるのは、苦手なことがあります。

たとえば、帰っていくお友だちが忘れ物をしているのに気づいた時…

大人なら、「○○さん、これ、忘れてるよ」と声をかけたり、職員に「○○さんが忘れ物しているから、届けに行きます」と声をかけてから席を立ったりできるでしょう。

ところが、ことばやコミュニケーションにそこまで熟練していない子どもの場合、とっさにその発信が出ないことがあります。

動くのが好きなタイプのお子さんなら、尚更です。

「えーっと、何て言うんだっけ…」なんて、考えるより、さっと立ち上がって走っていった方が断然、速い!

「…なのに、先生ったら、何で止めるんだ!?

 親切にしようとしたのに、叱られて、悔しい‼️」

「…って、言いたいのに、うまく説明できない😢

 言えなくて、苦しくて、地団駄踏んでたら、もっと怒られた!」

これは、しんどいですよね。

自分だったら、どうするかな?

ちょっと、もう…

しょうがないから、暴れちゃおうかな…?

気持ちのコントロールも、もちろん身に付けていきたいのですが、本当に、ただ気に入らなくて怒っているだけなのかな?

私たち、かかわる大人は、子ども達の言い分を、ちゃんと聞けているのかな?という視点は、常に持っていたいと思っています。

表題の、「でも、いやなんだ…」は、一暴れした後に、「床、冷たくない?」という問いかけに、考え、考え、答えてくれたものです。

「床は、冷たいよ…

 こんなの、楽しくないよ。

 本当は、暴れるの、良くなかったって、わかってるよ。

 でもね…

 何て言えばいいのか、わからないんだ。

 いやな気持ちだったんだ。」

いつも、たくさんお話できるので、「言うべきこと」が、いつでも、ちゃんと言えるはずと、期待されてしまうけれど、まだまだ子どもです。

ことばそのものは知っていても、求められるセリフを、頭の中の引き出しから、タイムリーに、的確に、探し出せる訳ではないのです。

その葛藤を、なんとか、知っている、使えることばで、伝えようとしてくれたのですね。

かわいいなー♥️

このかわいさが、もっと、みんなに伝わればいいのになー。

持っている能力が比較的高く、自分でできることが多いお子さんは、そのおかげで、色々なことに挑戦できて、伸びていく機会も多いのですが、一方で、こうした部分的な難しさを、周囲の人にわかってもらいにくい面があります。

運動神経がよくて、行動力があり、色々なことに気づく力を持っていると、尚更です。

好奇心に負けて、つい動いてしまう場合も、もちろんありますが、困っている友だちを助けるためだとか、本人にしてみれば、よかれと思っての行動である場合もあります。

それを、止められたり、叱られたりするのですから、まったく、おもしろくない💢ことでしょう。

だから、怒ってしまう…

それが、周囲の人からは、

「本当はあんなに色々なことができるのに、勝手な行動をする…

 自分が悪いのに、注意されたら怒るなんて、わがままな子😞💨」

…という風に見えてしまうのだから、本当に損なタイプです😢

彼ら・彼女らの、本当のかわいさを、周囲の人みんなにわかってもらえるには、どうすればいいかな?

1つには、かかわる大人の理解と工夫が必要です。

「どうして、その行動をしちゃったのかな?

 なにか、言い分があったんじゃないかな?」

「本当は、どうしたかったのかな?

 どうすればよかったのかな?」

子どもの行動や気持ちに寄り添って、かかわりたいですね。

それから、その「望ましくなかった行動」を、しなくてすむ方法は、なかったのでしょうか?

気になって動いてしまったのなら、集中して取り組む場面では、余計なものが視界に入らないようにすることはできないでしょうか?

友だちが困っているなら、その子より先に、大人が対応できれば、子どもが動かなくてすむかもしれません。

(事前準備と瞬発力が必要です。…がんばる👊✨)

こうして、大人が対応を続け、

「お話を聞いてもらえる。

 落ち着いて説明すれば、わかってもらえる。

 自分が動かなくても、先生(大人)がちゃんと対応してくれる。

 だから、大丈夫。」

と、子どもが安心し、納得できれば、その行動は変わってくるのではないでしょうか?

かかわる大人の理解と工夫の下で、少しずつ子ども達自身も、「わかってもらえるようにがんばろう」と思えるようになるといいですね。

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