- ことばの種(STさんのつぶやき)
そんなにオレが悪いのか♪
私と同年代の方なら、きっとメロディ付きで読んで(歌って)しまったであろう、今回のタイトル。
近頃、ある男の子を見ていると、頭に浮かぶんです。
元気のよい男の子で、明るくて、優しくて、かわいいお子さんです。
ただ、ちょっと元気いっぱいすぎて、注意されることが多くなってしまうのが、彼のしんどいところです。
みんな、そうだとは思いますが、注意されるのが大嫌い…、というか、苦手で、きちんとお話を聞いたり、「ごめんなさい」と謝ったりするのは難しくて、怒って暴れてしまうこともあります。
ここで、ちょっと心に止めておいてほしいことがあります。
「先生」というお仕事をされている方は、幼少時、わりと「良い子」だった方が多いように思います。
(私自身も、根っからの良い子だったわけではありませんが、「優等生のふり」をするのは、上手でした。)
「良い子」として過ごしていると、大人から「自分だけ叱られる」「強く叱責されて、言い分を聞いてもらえない」という経験は少ないのではないでしょうか?
でも、元気がよすぎるタイプのお子さんにとっては、(そうあってほしくはないのですが)それが日常だったりします。
もちろん、周囲の大人からすれば、その子だけが、場面に合わない行動をしたり、やりすぎたりしてしまうから、「その子だけ」に注意するのですし、注意しても応じられなければ、だんだん声は大きくなり、ことばも強くなっていきます。
「言い分」だって、(大人視点で)的はずれだったり、言い訳ばかりだったりすれば、耳をかしてもらえなくなっていきます。
決して、はじめから頭ごなしに叱りつけていたとか、理不尽に怒ったりとかでは、ないと思うのですが…
でも、それを、子ども自身は、どんな風に受け止めているでしょうね?
「他の子をみてごらん、みんなもう、~してないよ。今は、…をする時だよ」
自分だけ注意されたのはなぜなのか?
その子にわかるように、示すことができているでしょうか?
「今は、これをする時だよ。」
「~するのは、危ないから、やめようね。」
ということを、その子にとってわかるように、伝えているでしょうか?
大人の立場からすれば、「前にも言ったでしょ?わかるでしょ?」と、思うことかもしれませんが、それがわからないのが「子ども」というものです。
わかっていても、夢中になると忘れてしまうのも、子どもらしい振る舞いです。
「こうしてほしいよ、これはやめてほしいよ」を、子どもが意識できる、思い出せるような手がかりは、あるでしょうか?
子どもたちに、大人の考える「良い子」でいてもらうためには、大人の工夫や努力が必要です。
そうした工夫なしに、子ども自身が納得できない状況で「自分ばっかり、強く注意される」が続くと、どうなってしまうでしょう?
自分に自信が持てなくて、消極的になってしまう?
大人を信頼できなくて、反抗的になる?
嫌なことばを聞きたくないから、怒ってしまう?
…あまり、いい方向にはいかないように思いますね。
さて、件の男の子です。
本当に、ちょっとしたことで、かるーく注意されただけで、「もう!知らん!あっち行け!」と怒って、壁を叩いたり(職員に殴りかかるわけではなく)、大声で叫んだりしてしまいます。
その場面だけを見ると、暴れん坊の困ったさんに見えてしまうのですが、本当に、そんなに「オレが悪い」のでしょうか?
彼が、そうしてしまう背景には、これまでの、「納得いかない」「どうせ、僕が悪いって言うんでしょ?」「悲しい」が、たくさん積み重なっているのではないでしょうか?
(だからといって、そういう注意のしかたを繰り返さざるを得なかった、お家の方がいけなかったとも、思いません。その子の将来を思えばこそ、ビシッと言わなくては!と思うのは当然ですし、そうしなければならない場面だってあります。適当に機嫌を取ってやり過ごすのではなく、真摯に向き合ってこられたこと、とても大切なことだと思います。)
それでは、これからどうしていくのがいいでしょう?
「これが絶対!」という正解は、ありません。
強いて言うなら、「注意される」ことに、意味と愛情があることを、根気よく伝えていくことでしょうか?
「これをしたら(しなかったら)、注意される」ということを、視覚提示等を用いて、わかりやすく伝えること。
こうすることで、まず、「注意される」こと自体を減らすことができますし、どうして、何について、注意されているのかがわかれば、納得しやすくなります。
注意する大人の方も、端的に注意することができるので、お互いに嫌な思いをする時間を短縮できますね。
それから、「あなたが悪い子だから(嫌いだから)怒っているのではない」ということを、しっかり伝えてあげることも必要かもしれません。
ある程度、理解のある発達段階のお子さんであれば、「大好きなあなたが、ケガをしたら悲しいから言うんだよ」「怒っているわけではないんだよ」と、ことばで伝えることも有効です。
また、叱りっぱなしではなく、なるべく早めに、「お叱りタイムおしまい」の、区切りをつけて、仲直りのチャンスをつくってあげてほしいなと思います。
(子どもたち、意外と叱られたことを引きずって、悲しくなってることがあります。)
すぐに解決するのは、難しいけれど、やはり、「自分は愛されている、尊重されている」という、信頼と自信があってこそ、嫌なお話(注意、制止)を聞けるのだと、私は思います。
(逆に、信頼・自信がなくて、言われたことに従ってしまうのは、ちょっと悲しいし、危険な気がします…)
余談ですが、この、男の子、ある若い女性職員が対応すると、怒らずに応じられることが多いような気がして…
観察していると、
「えー、それ、いやだ」
「そんなことするんだったら、もうあそばない!」
「ねえねえ、ちょっときいて。先に~してくれない?」等、あえて友だち同士のような口調で、声をかけています。
若く、年齢が比較的近いこと、「先生」然とした雰囲気でないことを活かして、「注意された」と感じさせず、自然に応じられるようにしているのですね。
私の年齢、雰囲気では、ちょっと真似するのは難しいですが、この声かけ、うまいなーと思います。
注意される子どもの気持ち、昔「良い子」だった皆さんは、想像したことありますか?
「そんなにオレが悪いのか?」
本当は、そんなに、悪くはないんじゃない?