Social Welfare Corporation KUJIRA

  • ことばの種(STさんのつぶやき)

「夕方 会おう!」

そらチームのAちゃんは、ママが大好きです。

4月に進級してしばらく、チームの様子や生活の変化への戸惑いもあったのでしょう。

登園後、ママに会いたくて、涙する日が続きました。

好きな活動には参加できるのですが、ふとした時にママが恋しくて、

「ママ来る?」「〜して、…したら、ママ(のところに)帰る?」と、職員に問いかけます。

「おやつ食べたら帰ろうね。」

「大丈夫だよ。」

「ママは、Aちゃんのこと大好きなんだよ。」

Aちゃんが安心できる声かけや方法を、私たちも試行錯誤していたのですが…。

ある朝、通園バスから降りてきたAちゃんが、涙を堪えながら、「夕方会おう?」と言いました。

「そうだね、夕方会おうだね。ママ、待ってるよ。」と返すと、「うん」と頷き、保育室へ入り、朝のお支度を始めました。

それからは、ママを求めて長時間泣くことは、ほとんどありません。

時々、自分で「夕方会おう…。」と呟いたり、職員に「ママ、夕方会おうだね」と声をかけられたりすることで、気持ちを立て直すことができています。

今では、泣いているお友だちに、「ママ来るよ」「夕方会おうだよ」と声をかけて励ましてあげることもあります。

きっと、朝、お別れする前に「夕方会おう!」とママとお約束したのでしょう。

大好きなママが、はっきりと約束してくれたことで、安心し、がんばることができたのですね。

それに、「夕方会おう」ということば!

「夕方」という語で、「いつ」ママに会えるのか、見通しが立ちます。

「迎えに行く」ではなく、「会おう」という語を選ぶことで、「ママも、Aちゃんに会いたいんだよ。大好きなんだよ。」という気持ちが伝わります。

シンプルでわかりやすく、Aちゃんが安心できる情報がぎゅっと凝縮された、素晴らしい言葉のチョイスです!

大人はついつい冗長に、ことばを重ねてしまいます。

私も、その傾向が大いにあります。

「夕方会おう!」

「その子」が求める情報を、こんなにも端的に、わかりやすく、そして愛情を込めたことばで、伝えることが、私にできているでしょうか?

Aちゃんのママを見習って、コミュニケーションスキルをもっと磨かなくては!と、決意したエピソードです。

文責:児童発達支援センター伊予くじらST

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